3気筒の低音サウンド、ヤマハ XSR900

3気筒というヤマハの新たなチャレンジ

この車種は変わった経歴を持ち、ヤマハヨーロッパが海外市場向けに先行発売した後、国内向けに平成28年2月に60thアニバーサリーモデルとして受注生産されました。
さらに、4月からはXSR900と60thアニバーサリーモデルが発売されています。
ヤマハがトライするチャレンジの一つがXSRの3気筒エンジンで、4気筒では見られない低中速域のトルク特性を武器に、オリジナルの荒々しいエンジン感覚とエキゾーストサウンドでライダーを引き付けます。

基礎の車種とされた3気筒ロードスポーツ「MT-09」は、もともとオリジナリティあふれたロードバイクとして高い人気を博しました。
外観はややレトロ感というかネオレトロ感とでもいうべき風貌で、ヤマハ自体レトロ感を強調するPRをしています。
しかし、一旦シートにまたがると全く違う事に気づかされ、レトロ感はみじんも感じられずストリートスポーツの王道と言っても過言ではないでしょう。

3気筒エンジンの魅力

3気筒を採用した結果、実現可能となったことを挙げると、まず「120度クランク等間隔爆発」という円滑な回転感覚が得られる事があります。
これは例えるとロータリーエンジンのようだと言われるほど全ての回転域で等しくトルクを得られ、扱い易い特性が得られるという事です。

このため、あえてシフトを変えなくてもアクセルをひねれば十分なパワーが得られることを意味します。
これがロードスポーツの王道を行くと言われるゆえんでしょう。

また、3気筒エンジンはツインエンジンの鼓動感とどの回転域でも伸びるパワーの長所を併せ持つと言われますが、さらに独特のサウンドがライダーを引き付けます。
この音の魅力は管楽器を想像させるクリアでソフトな音色で、かつて楽器メーカーから独立したメーカーであることを思い起こさせるようです。

XSR900の乗り心地

ライディングポジションはややアップライト気味で、上体を起こしゆったり座れる楽な姿勢がとれます。
ただ、XSR900のスタイルの大きな特徴ともいえる大きくて長めの燃料タンクゆえに、少し後ろ乗りスタイルになりますが、それも魅力でしょう。

海外向けに開発されたという経歴ゆえ、シートは830mmと高く、体格により足着きが悪く感じる場合もあると思われるため、外観の魅力だけで愛車に選ぶのは避けてじっくり試乗をするようにしましょう。
ただ、シート高とライディングポジションから、いったん走り出せば目線が高く見晴らしも良く運転しやすいと言えます。

サスペンションはしなやかでかつホールド感のあるストロークをしてくれ、スポーティであっても快適な乗り心地を実現しています。
ハンドリングの操作性も軽快で、起こし気味の上体から見下ろすような形での豪快なコーナリングも楽しめるでしょう。
その他に特筆すべきものとして、トラクション・コントロール・システム等、最先端を行く電子制御装置がスタンダードで装備されコスパ感も感じられます。