鼓動感とトルクが魅力のヤマハ SR400

ノスタルジックなロングセラーモデル

SRは、長く人気を誇るヤマハが生産する単気筒エンジンバイクのモデルです。
発売は1978年と長い歴史を持ち、初代から引き継がれる伝統的なデザインで、全ての年代にファンを持つロングセラーモデルです。
バイクの原型と言っても良いノスタルジックなスタイルかつシンプルで美しいデザインに人気が集まります。

SR400が発売されるまでは大排気量クラスのロードバイクの単気筒モデルが無かったため、そのスキマを埋めるべく、トライアルタイプのXT500のエンジンを基礎に、国内の当時の中型免許に対応出来る400ccのエンジンに改良しています。
2008年まで長らく基本設計とボディスタイルを変更することなく、生産が続けられた稀有なモデルと言えるでしょう。

一時的に生産は中断されましたが、排ガス規制にクリアできる設計変更により2009年末に復活しています。
外観の特徴であるホイールのスポークタイプはアルミキャストタイプに変更された期間もあるのですが、ノスタルジックなスタイルを好むファンから不評で販売台数が大きく落ち込んだため、再びスポークタイプが復活しています。

頑固にスタイルを堅持

2012年にグッドデザイン・ロングライフデザイン賞を受けるなど、ファンにとっては発売当初から大きく変更されていないことがプレミアムと言っても良いような、不思議な魅力を持ちます。
2017年9にはSR400の製造終了が正式に公表されたのですが、その人気から強化される排ガス規制へ対応すべく吸排気系統を中心に新モデルが開発され、2018年9月に11月からの販売が発表されました。

大排気量・単気筒エンジンのスペックと魅力

ビッグシングルと称される400cc単気筒エンジンは 2.9kgf-mと豊かな最大トルクを発生しますが、特筆すべきはその回転数が3,000rpmと極めて低い事です。
最高出力は24psですがこちらも6,500rpmと低く、低~中回転域でパワフルな鼓動感が楽しめる設計です。
その一方、400cc単気筒であるが故、エンジンの幅を気にする必要もなく、ショートストロークが実現されたため高回転域まで滑らかな吹け上がりも獲得しています。

単気筒であるが故の魅力

1978年の発表当時は大きめの排気量と言えたヤマハSR400ですが、現在でははるかに大きなリッターオーバーのエンジンを大排気量と呼ぶようになりました。
SR400の空冷SOHC単気筒エンジンは決して速いとは言えず、デザインだけでなくさまざまな装備でも新たな技術は採用されていません。
それでも高い人気を誇る理由は、400cc単気筒エンジン特有のドコドコという鼓動感が他のモデルにはない最大の魅力でしょう。

ドコドコと言っても決して重たいイメージではなく、ショートストローク設計であるゆえの軽い「トコトコ」に近い鼓動感で、長く走っても決して疲れることがないのです。
SR400に惚れ込めば、先端の技術にはさほど魅力を感じないという事かもしれません。