ロードバイクに乗る楽しさを感じながら、今回もヒルクライムに挑戦してきました。向かった先は神奈川県秦野市に位置する「ヤビツ峠」。ヒルクライマーにとっての聖地とも呼ばれるこの峠で、どれだけ自分の成長を感じられるのか、期待と不安を胸にペダルを回しました。
ヤビツ峠とは?
ヤビツ峠は、ロードバイク乗りなら一度は耳にしたことがある有名なヒルクライムスポット。名古木交差点をスタート地点とする「表ヤビツ」は、全長約11.8km、標高差670m、平均勾配5.9%と、初心者でも挑戦しやすい一方で、タイム計測を行うライダーにとっては腕試しの場でもあります。
一方、裏側の「裏ヤビツ」ルートも存在しますが、表ヤビツのほうが整備されておりアクセスもしやすいことから、初挑戦には最適なルートと言えるでしょう。
名古木交差点からスタート
朝早くに横浜を出発し、名古木交差点へ到着。ここには小さなコンビニがあり、スタート前に軽い補給をするのが定番です。店の前には同じ目的を持つロードバイクがずらりと並び、少し緊張感も漂います。軽くストレッチをして心拍数を整え、いよいよヤビツ峠への挑戦が始まります。
序盤の住宅街で気を抜かない
スタートしてすぐに住宅街が現れますが、ここで油断してはいけません。序盤には10%を超える勾配の急坂が待っています。初めて挑む人はこの区間で脚を使い切ってしまうことも少なくありません。私も過去に何度か挑戦しましたが、今回はギアを軽くして無理せず進むことを心がけました。
最初の難所「蓑毛(みのげ)」区間
しばらく進むと、大山阿夫利神社の鳥居が見え、ここから本格的な上りが始まります。この蓑毛区間は約1km続く急坂で、10%前後の勾配がライダーの脚力を試します。坂が見通しの良い直線状になっているため、「あそこを曲がれば終わりだ」と思いがちですが、その期待を裏切るかのように上りが続きます。
今回は意識的にペースを抑え、一定のリズムで呼吸を整えながら進みました。蓑毛バス停に到達した時は、「ひとまず第一関門突破」と少しホッとした気持ちになりました。
景色に癒される中盤戦
蓑毛バス停を超えると、勾配が緩やかになり、杉林に囲まれた静かな道が続きます。この区間はサイクルコンピューターが示す勾配も3~4%程度と優しくなり、少しスピードを乗せることができます。途中で見える富士山や丹沢山地の美しい景色に心が癒され、「ここまで来たんだ」と達成感を少しずつ味わうことができました。
このルートの魅力は、ただ上るだけではなく、自然に囲まれた環境そのもの。耳を澄ますと風の音や鳥のさえずりが聞こえ、都会の喧騒を忘れる時間が広がります。
最後の勝負区間
菜の花台展望台を過ぎると、いよいよ最後の上り区間に差し掛かります。タイム計測をしている人にとっては、この区間が勝負所。勾配は10%を超えることはないものの、脚にたまった疲労と戦わなければなりません。
菜の花台を過ぎてからは道幅が狭くなり、路面状況も悪くなる部分がありますが、疲労をごまかすようにハンドルの持ち方を変えたり、小さなストレッチを入れるなど工夫しながら進みました。「もう少しでゴールだ」と自分を励まし、何とかペダルを回し続けました。
ゴール!そして達成感
峠の看板が見えた瞬間、全身に達成感が広がりました。ヤビツ峠のゴール地点には売店があり、ロードバイクを並べて休むライダーたちの姿が。呼吸を整え、記念撮影をした後、少し先にある湧き水スポット「護摩屋敷の水」へ足を延ばしました。
冷たい湧き水をボトルに補充し、一口飲むと疲れが一気に吹き飛びました。「またここに戻ってきたい」と自然に思える瞬間です。
ヤビツ峠の魅力とは?
今回のヒルクライムを通して、ヤビツ峠の魅力を改めて実感しました。それはタイムを測ることで自分の成長を確認できる楽しさ、自然豊かな景色、そして頂上にたどり着いたときの達成感です。また、道中で出会うライダーたちとの交流も忘れられない要素です。
一方で、無理をせず自分のペースで上ることの大切さも実感しました。急がず焦らず、ロードバイクと自分の体を大切にしながら楽しむ。それがヤビツ峠を最大限に楽しむコツかもしれません。
次の挑戦へ向けて
今回のタイムは50分台。まだまだ目指したいタイムには届いていませんが、一歩ずつ進むことが何より大切だと思っています。次はどの峠に挑戦しようか。そんなことを考えるだけで、またペダルを踏みたくなる。これがヒルクライムの魅力なのかもしれません。
ヤビツ峠に挑戦した皆さん、ぜひ自分なりの楽しみ方を見つけてください。自然と一体になるこの感覚、ロードバイクならではの特別な時間を味わえる場所だと思います。