ロードバイクとの最大の違いは「走れる場所」を選ばないこと
サイクリングを趣味にしていると、気持ちよく舗装路を走っている最中に、ふと魅力的な脇道を見つけることがあります。
「この先にはどんな景色が広がっているんだろう」と好奇心をそそられるものの、乗っているのがタイヤの細いロードバイクだと、パンクや転倒のリスクを考えて引き返してしまうことが少なくありません。
ですが、これまでは諦めていた道の先へ迷わず踏み込んでいけるのが、グラベルロードバイクの最大の魅力です。
一見するとドロップハンドルがついているためロードバイクとそっくりですが、その性格は似て非なるものです。
ロードバイクが「舗装された道をいかに速く、効率的に走るか」を追求して削ぎ落とされたレーシングマシンだとすれば、グラベルロードは「路面状況を問わず、快適にどこまでも走り続けること」を目的としたアドベンチャーバイクといえます。
マウンテンバイクほどの激しい段差や岩場を攻めるのは苦手ですが、砂利道(グラベル)や土の道、荒れたアスファルトなどは得意中の得意です。
舗装路ではロードバイクに近い軽快なスピード感を楽しみつつ、未舗装路が現れてもそのまま突っ込んでいける自由さは、一度味わうと病みつきになります。
また、この悪路への強さは日常使いでも大きなメリットになります。
通勤や通学のルート上にある歩道の段差や、工事中の荒れた路面、雨上がりの滑りやすいマンホールなども過度に気にせず走れるため、実は最強の街乗り自転車としても注目されています。
荒れた路面でも安定して走れる車体構造とタイヤの特徴
グラベルロードに乗って最初に驚くのは、その乗り心地の柔らかさと安定感です。
これを支えているのが、一般的なロードバイクよりも圧倒的に太いタイヤです。
ロードバイクが25mmから28mm程度のタイヤを履くのに対し、グラベルロードは35mmから45mm、モデルによってはそれ以上の太いタイヤを装着できます。
タイヤが太いということは、それだけ多くの空気を含めるということ。
このエアボリュームがサスペンションのような役割を果たし、地面からの微細な振動を吸収してくれるため、長時間乗っていても身体への負担が驚くほど少なくなります。
また、タイヤの表面も、ツルツルしたスリックタイヤではなく、小さな凹凸やブロックパターンが刻まれているものが主流です。
これにより、砂利道や濡れた路面でもしっかりと地面をグリップし、スリップの不安を軽減してくれます。
車体の設計にも、長時間走り続けるための工夫が詰まっています。
前後のタイヤの距離が長く設計されているため、直進安定性が高く、ふらつきにくいのが特徴です。
ハンドル位置も少し高めに設定されていることが多く、前傾姿勢がきつくなりすぎないため、景色を楽しみながらリラックスして走れます。
旅の相棒として信頼できる積載能力とブレーキ性能
グラベルロードが旅の自転車として支持される理由は、その拡張性の高さにもあります。
フレームやフロントフォークの各所に「ダボ穴」と呼ばれるネジ穴が多数設けられているのが一般的です。
そのため、キャリアや泥除けはもちろん、ボトルケージを3つ、4つと増設したり、キャンプ道具を積んだりするためのケージをスムーズに取り付けられます。
最近流行している、大型のサドルバッグやフレームバッグを駆使してキャンプツーリングを行うバイクパッキングとの相性も抜群です。
リュックを背負わずに、必要な荷物をすべて自転車に積載できるため、身軽な格好で数日間の自転車旅に出かけることも夢ではありません。
また、重い荷物を積んで走ることを想定しているため、ブレーキシステムには強力なディスクブレーキが標準装備されています。
従来のリムブレーキとは異なり、雨や泥でホイールが汚れても制動力が落ちにくく、少ない力でしっかりと止まれるのが特徴です。
特に峠道を下る際や、急な雨に降られたとき、このブレーキ性能の高さが大きな安心感につながります。
油圧式のディスクブレーキであれば、握力の弱い女性や、長時間のライドで手が疲れてきた後半でも、指一本でコントロールできるほどの軽さです。
速さを競うのではなく、自分のペースで道を選び、時にはコーヒーセットを持って森の中へ入っていく。
そんな自由な休日の過ごし方を叶えてくれるのが、グラベルロードという乗り物です。
ただの移動手段ではなく、行動範囲と遊びの幅を広げてくれる最高のツールとして、新しい自転車ライフを始めてみてはいかがでしょうか。
