東京都西部に位置する多摩湖サイクリングロード。日常の喧騒を離れ、自然と触れ合いながら気軽に楽しめるこのルートは、サイクリストにとって特別な魅力を持っています。今回、この多摩湖サイクリングロードを実際に走り、その魅力を体感してきました。コースの概要やその特徴、走行中の感想を交えてご紹介します。
コース概要:自然と街並みのコントラストを楽しむ
多摩湖サイクリングロードは、武蔵野市や西東京市を通り、多摩湖(正式には村山貯水池)を一周する全長約35kmのルートです。この自転車道は「多摩湖自転車歩行者道」とも呼ばれ、全体として前半の直線的な区間と、後半の湖畔に沿ったカーブの多い区間という二部構成になっています。
スタート地点とアクセス
私はJR中央本線の武蔵境駅からスタートしました。この駅は新宿から約20分で到着でき、アクセスが良好。駅からほど近い井ノ頭通りを北上し、五日市街道との交差点にある多摩湖自転車歩行者道の起点から本格的に走り始めます。この直線的な自転車道は地下に水道管が敷設された水道道路の上を通っており、平坦な道が続きます。
前半:市街地を抜ける直線ルート
初めの約10kmは、市街地を縦断する真っ直ぐなルート。歩行者も多く、速度を抑えながら慎重に進む必要がありますが、それでも一般車がほとんど入ってこない専用道の安心感が嬉しいポイントです。
住宅街を抜けると畑や公園が点在するエリアに差し掛かります。ここでは、地元の野菜を販売する屋台や昔ながらの駄菓子屋も見られ、立ち寄るのが楽しみの一つになりました。特に地場産野菜を扱う屋台では、採れたての新鮮な野菜が並んでおり、地元の暮らしが感じられる素朴な魅力があります。
小平ふるさと村にも立ち寄りました。この施設は、江戸時代の農家や昭和初期の郵便局などを保存しており、東京の原風景を垣間見ることができます。近代的なビルが立ち並ぶ都心から近いとは思えないほど、穏やかで懐かしい空間が広がっていました。
後半:湖畔を巡る自然満喫ルート
多摩湖が近づくと、コースの雰囲気は一変します。直線的だった道が曲線を描き始め、緩やかな坂道やアップダウンが現れる湖畔ルートへと移ります。ここで感じる風の爽やかさは格別。湖面に映る木々の緑や空の青さが心を癒してくれます。
湖畔を進む道は、所々で視界が開け、湖全体を見渡せるポイントもあります。このようなスポットで一息つきながら眺める景色は、都心からの近さを忘れさせてくれるほど開放的です。また、道幅が狭い箇所もあるため、すれ違う際には注意が必要ですが、ゆっくりと進むことで周囲の自然をじっくり楽しむことができます。
途中には狭山湖を周回するルートも組み込まれており、こちらは未舗装の道が続きます。タイヤの太めなバイクが必要ですが、砂利道の感触を感じながら進むのは新鮮で、特にグラベルライド好きにはたまらないエリアです。
走ってみての感想
多摩湖サイクリングロードを走って感じたのは、このコースが初心者から上級者まで幅広く楽しめる点です。直線区間ではロードバイクでの軽快なスピード感を味わえ、湖畔ルートではのんびりと景色を楽しむ余裕が生まれます。未舗装路がある後半部分は冒険心をくすぐられ、普段の舗装路では味わえない走行感が新鮮でした。
また、アクセスの良さも大きな魅力。都内近郊から1〜2時間で訪れることができるため、気軽に日帰りライドが楽しめます。車道と分離されている区間が多いため、車の心配をせずに走れる点も安心です。
さらに、沿道の施設や名所も充実しており、途中で観光や食事を楽しめるのもポイントです。例えば、小平ふるさと村で歴史を感じたり、地場産の新鮮野菜を購入したりと、ただ走るだけではない楽しみ方ができました。
総括
多摩湖サイクリングロードは、自然と都市が調和した東京の新たな一面を発見できる魅力的なルートでした。湖畔を渡る風の心地よさや、里山の風景、そして直線区間の快適さが印象に残ります。休日にふらっと訪れるだけでも十分楽しめますし、家族や友人と一緒に走るのもおすすめです。
次回はもう少し早い時間にスタートして、狭山丘陵の未舗装エリアや周辺の他の名所も巡ってみたいと思います。多摩湖サイクリングロードは、誰でも気軽に訪れることができる、まさに「東京の隠れた名所」と言えるでしょう。